フリーランスになったらまずは付加年金の手続きを

フリーランスにはサラリーマンのような手厚い年金や退職金はありません。その代わりに老後資金づくりに役立つ制度が色々あるのですが、その中でも『付加年金』という必ずおさえておきたい制度があります。
そこで今回は独立したらすぐに手続きしておきたい付加年金について詳しく解説したいと思います。
月400円の負担で終身年金の上乗せができる神制度
付加年金というのは国民年金の第1号被保険者が加入できる追加オプションのような制度です。毎月の年金保険料に400円を追加して納付すると、老齢基礎年金に”付加年金”が上乗せされます。上乗せされる金額の計算式は以下の通り。
付加年金の年金額 = 付加保険料の納付月数 × 200円
もしも付加保険料を30歳から60歳までの30年間(360ヶ月)納めた場合、360ヶ月×200円=72,000円が老齢基礎年金に上乗せされます。
令和5年度の老齢基礎年金額は795,000円なので、これに付加年金を加えた867,000円を受け取ることができるということになります。
付加年金の嬉しいポイントは、上乗せとなる付加年金額は自分が亡くなるまで終身で受け取ることができるという事です。
年金は長生きリスクに備えるという側面が大きいので、小さな負担で終身年金を増額できるというのは非常にメリットが大きいのではないでしょうか。
2年で元が取れるから払い損になる可能性が低い
付加年金をはじめやすいもうひとつの理由として『2年で元が取れる』という点があります。
先ほどの例では納付した総額144,000円に対して受け取る付加年金額が年間72,000円ですから、2年間受け取れば元が取れてしまうという計算になります。
また、付加年金には物価スライドが適用されないので減額されることもなく、受給を開始すれば定額の付加年金額が生涯にわたって受け取れます。
年金というと「何歳まで生きられるか分からないから払い損になるのでは?」と考える人もいます。しかし付加年金に関していえば、65歳から受取りを開始しても68歳以降は確実にプラスになりますので、払い損になるリスクはかなり低いと考えることができます。
仮に男性の平均寿命である81歳まで生きた場合、納めた保険料の8倍の付加年金を受け取ることができることになります。女性の場合は平均寿命が87歳ですから、納めた保険料の11倍も受け取ることができる計算になります。
この倍率に関しては何歳から付加年金に加入したかに関係ありませんので、「早く始めた方が得」とか「遅く始めるのは損」ということは一切ありません。
付加年金にもデメリットはある?
月400円という小さな負担ではじめられる付加年金ですが、デメリットをも4つおさえておく必要があります。
- 受給開始前に亡くなった場合に保険料は戻ってこない
- 受給開始から2年以内に亡くなった場合には差額が損失となる
- 老齢基礎年金を繰り上げ受給した場合は付加年金も同じ割合で減額される
- iDeCoの拠出金額の上限が1,000円減額されてしまう
国民年金では受給前に加入者が亡くなった場合に、遺族が遺族基礎年金や死亡一時金として受け取ることができます。
しかし付加年金については遺族一時金などに加算されることはありません。そのため、受給前に亡くなってしまった場合には付加年金保険料は掛け捨てとなってしまいます。
また受給開始したとしても、2年以内に亡くなってしまった場合には納めた保険料と受け取った付加年金の差額分は掛け捨てとなります。
次に、老齢基礎年金を繰り上げ受給した場合についてです。この場合は年金の減額割合と同じ割合で付加年金も減額されてしまいます。※繰り下げ受給した場合には増額されます。
最後はiDeCoと付加年金を併用した場合に、iDeCoの拠出上限が1,000円少なくなってしまうという点です。
フリーランスであれば月額の上限は68,000円ですが、付加年金に加入すると67,000円までとなってしまいます。
これらが付加年金のデメリットとして覚えておきたい内容になります。
まとめ
付加年金は月400円の負担で年金を上乗せできる制度です。老後資金を増やす手段としてはもっとも手軽にはじめられて、損する可能性がとても小さいというのが特徴ですね。
フリーランスは老後のお金に不安を持つ方が多いかと思います。付加年金に加入して少しでも年金を増やすことで、将来の安心に安心に繋がるのではないでしょうか。
付加年金は市区町村役場やお近くの年金事務所で手続きできます。
「加入すべきかどうか分からない」という方はぜひ公式LINEの無料相談をご活用くださいね。