【不動産FPが解説】不動産投資でペアローンを活用するリスクと成功の条件をプロが徹底解明

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「年収は十分にあるが、希望する物件の融資枠が足りない」「夫婦共働きなので、二人で力を合わせて資産形成をしたい」――。このように考え、不動産投資においてペアローンの利用を検討される方が増えています。昨今の都心部における物件価格の高騰に伴い、単独の年収では手が届かない優良物件を狙うために、夫婦やパートナーの合算収入でローンを組む手法は、一見すると非常に魅力的な選択肢に映るでしょう。

ただし、ここで大前提として押さえておきたいのは、住宅ローンの世界で語られる「ペアローン」と、投資用ローンの世界で実務的に行われる「共同で与信を使う手法」は、金融機関や商品によって設計が異なることがある点です。住宅ローンの典型的なペアローンは「ローン契約が2本」になりますが、投資用では「連帯債務に近い形」や「片方が主債務者で、片方が収入合算+保証」に近い形で提案されるケースもあり、契約書面の確認が必須です。

しかし、不動産専門のFP(ファイナンシャルプランナー)の視点から申し上げますと、不動産投資におけるペアローンの利用には、住宅ローンとは比較にならないほどの複雑なリスクと、将来のライフプランを左右する重大な懸念が潜んでいます。安易に「借りられる額」を増やしてしまうと、数年後の結婚・出産、さらにはマイホーム購入や万が一の離婚といった事態に直面した際、身動きが取れなくなるケースが後を絶ちません。

本記事では、不動産投資におけるペアローンの仕組みから、そのメリット・デメリット、そして専門家だけが知る「出口戦略」の落とし穴までを、1万字を超える圧倒的なボリュームで徹底解説します。この記事を最後までお読みいただければ、あなたがペアローンを組むべきか、あるいは単独ローンに留めるべきかの明確な判断基準が手に入るはずです。

この記事を読むと分かること

  • 不動産投資ペアローンを利用する際の基本的な仕組みと審査基準
  • 夫婦でペアローンを組むことで得られる税制メリットと注意すべき初期費用の差
  • ペアローンが将来の「マイホーム購入(住宅ローン)」に与える致命的な影響
  • 離婚や病気、収入減少が発生した際に不動産投資ペアローンが抱える最大のリスク
  • 不動産投資におけるペアローン特有の団信(団体信用生命保険)の考え方
  • 不動産専門のFPが推奨する、失敗しないための「出口戦略」と損益通算のルール
目次

不動産投資におけるペアローンの基本的な仕組みと連帯債務・連帯保証との違い

不動産投資においてペアローンを検討する前に、まずはその定義と、混同されやすい他の融資形態との違いを正確に理解しておく必要があります。多くの投資家が「収入合算」という言葉でひと括りにしてしまいがちですが、法的な責任や税務上の扱いは大きく異なります。ここでは、ペアローンの構造を深掘りし、なぜこの手法が選ばれるのか、その背景を解説します。

なお、不動産投資の現場では、同じ「ペアローン」という呼び名でも、金融機関によって「互いが連帯保証人になることを要件とする」場合と、「別の保証人を求める」場合があります。団信の付帯条件や保証の扱いも含め、申込前に必ず重要事項の確認(融資条件書、金銭消費貸借契約書、保証委託契約)を行ってください。

ペアローンの定義と融資枠が拡大するメカニズム

ペアローンとは、同一の物件に対して、夫婦やパートナーがそれぞれ別個にローン契約を結び、お互いに相手の債務に対して連帯保証人になる仕組みを指します。例えば、8,000万円の投資用物件を購入する場合、夫が5,000万円、妻が3,000万円のローンを個別に契約します。

この最大のメリットは、個人の年収倍率(通常、年収の7倍?10倍程度)を超えた融資を引き出せる点にあります。単独年収700万円の会社員であれば、融資上限は一般的に7,000万円前後ですが、パートナーに500万円の年収があれば、世帯合算で1億円以上の物件を視野に入れることが可能になります。特に都心の中古ワンルームマンションや一棟収益不動産を狙う場合、この「融資枠の拡大」は強力な武器となります。

ただし、この「年収倍率」はあくまで分かりやすい目安として語られることが多く、投資用ローンの審査は、年収だけでなく、既存借入の状況、年間返済額の総量、物件の担保評価、家賃収入の評価方法(空室率の見込み、家賃の査定)、自己資金比率、管理コストの想定など、多面的に行われます。つまり「二人で借りれば必ず枠が広がる」という単純な話ではありません。ここを誤解してしまうと、購入後のキャッシュフローが想定より悪化した際に、家計を直撃します。

連帯保証・連帯債務とペアローンの決定的な違い

不動産投資における収入合算には、ペアローンの他に「連帯債務」と「連帯保証」があります。これらは似て非なるものです。

項目ペアローン連帯債務連帯保証
契約数2本(それぞれが主債務者)1本(連名で債務を負う)1本(一方が主債務者)
団体信用生命保険各自が加入できる設計が多い(商品により異なる)原則1名(商品により二人加入の設計もある)主債務者のみ
住宅ローン控除両者適用可(注)両者適用可(注)主債務者のみ
事務手数料2倍かかる1件分1件分

注:不動産投資の場合、居住用ではないため住宅ローン控除は適用されませんが、将来的に賃貸併用住宅とする場合などに影響します。住宅ローン控除は、原則として「取得後一定期間内に自己の居住の用に供し、その年の年末まで引き続き居住している」などの居住要件を満たすことが前提になります。

不動産投資特有の視点としては、減価償却費の按分や利息の経費計上の仕方に違いが出る点に注目すべきです。特に共有名義の場合、原則として家賃収入も必要経費も持分割合に応じて按分して計算することになり、損益通算の効き方も「世帯で一括」ではなく「各人ごと」に分かれます。

投資用物件でペアローンが選択される市場背景

なぜ今、不動産投資ペアローンが注目されているのでしょうか。その背景には、物件価格の高騰と低金利政策の長期化があります。収益性が低下し、1戸あたりの価格が上昇する中で、投資家はより規模の大きな物件、あるいは立地条件の優れた高額物件を選ばざるを得なくなっています。

また、金融機関側も「共働き世帯」を優良な顧客層と捉え、投資用ローンにおいてもペアローンのパッケージを用意するケースが増えています。しかし、銀行が貸してくれる金額と、あなたが安全に返済できる金額は全く別物であることを、不動産専門のFPとして強く警告しておきます。

とくに投資用不動産は、家賃が下がる、空室が出る、管理費・修繕積立金が上がる、金利が上がる、といった「運用後の変動要素」が複数同時に襲ってきます。ペアローンはこの変動を吸収する余力を二人分まとめて使ってしまいやすいため、購入時点で「最悪の年」を想定しても耐えられる設計になっているかが勝負になります。

夫婦で不動産投資にペアローンを活用する際のメリットと節税効果の真実

不動産投資ペアローンを用いることは、単に「高額な物件が買える」という以上の戦略的メリットをもたらす場合があります。特に所得税・住民税が高い高所得層の夫婦にとっては、資産を分散させることで得られる恩恵は小さくありません。この章では、FPの視点から具体的な数値を用いてそのメリットを解剖します。

所得分散による所得税・住民税の節税メリット

日本の所得税は「累進課税」を採用しています。つまり、一人の人間が高い利益を得るよりも、二人が分散して利益を得るほうが、世帯全体の納税額を抑えられる可能性が高いのです。

不動産投資においてペアローンを組み、物件の持ち分を夫婦で分ける(例:50%ずつ)と、家賃収入もそれぞれの所得として計算されます。例えば、年間の不動産所得(利益)が400万円ある場合、夫一人の所得に加算されると税率が跳ね上がる可能性がありますが、夫婦で200万円ずつに分散すれば、低い税率区分を維持できるケースがあります。

ただし、ここで注意が必要なのは、不動産所得が赤字になった場合です。給与所得と不動産所得の損益通算は、それぞれの持ち分に応じて行われます。どちらか一方が専業主婦(主夫)で給与所得がない場合、その方の分の赤字は損益通算による節税効果を生まないため、持ち分割合の決定には緻密なシミュレーションが不可欠です。

さらに実務で見落とされやすい論点として、不動産所得の赤字があっても「土地等を取得するために要した負債の利子」に相当する部分は、損益通算の対象にならないという制限があります。つまり「赤字だから全部給料と相殺できる」とは限らず、融資の中身(建物・土地の比率、金利、返済初期の利息割合)によって、節税効果が想定より薄くなることがあります。

参考:国税庁:不動産所得が赤字のときの他の所得との通算

団体信用生命保険(団信)による二重の保障

ペアローンの大きな特徴の一つに、夫婦それぞれが「団体信用生命保険(団信)」に加入できる点があります。不動産投資において団信は「生命保険代わり」としての側面を持ちます。

例えば、夫が5,000万円、妻が3,000万円のローンを組んでいる状態で、万が一夫が他界した場合、夫の分のローン5,000万円は完済され、妻のローン3,000万円のみが残ります。この時、物件の半分(夫の持ち分)は相続され、家賃収入の半分はローン負担なしで手元に入ることになります。これは、遺された家族にとって強力な私的年金となります。単独ローンの場合は、主債務者が亡くなればローンはゼロになりますが、そもそも一人しか加入できないため、夫婦共働きでリスクを分散したい世帯にはペアローンが有利に働く場面もあります。

ただし、団信は「加入できること」が前提です。健康状態によっては加入が難しい場合がありますし、投資用ローンでは団信が任意である商品も存在します。また、互いに連帯保証人となる設計の場合、万が一の際に「保証人の差し替え」などを求められる運用もあり得るため、保障の条件は必ず契約書面で確認してください。

住宅ローンの世界では、連帯債務の夫婦向けに「二人を同時に保障する団信」が用意されている例もあります。投資用ローンにそのまま当てはまるわけではありませんが、「二人で借りること」と「保障の設計」は切り離して考える必要がある、という理解が重要です。

参考:住宅金融支援機構:新機構団信とデュエット(ペア連生団信)

高属性を活かした優良物件へのアクセス

不動産投資の成否を分ける最大の要因は「立地」と「物件の質」です。都心の一等地のマンションや、資産価値の下がりにくい築浅物件は、当然ながら価格も高騰しています。単独の融資枠では妥協して郊外の築古物件しか買えない場合でも、ペアローンを活用して世帯の与信を最大化することで、将来的な空室リスクが低く、出口戦略の立てやすい都心優良物件をポートフォリオに組み込むことが可能になります。

ただし、ここで見落としがちなのが「買えたこと」と「勝てる物件であること」は一致しない点です。都心の優良物件ほど利回りが低くなりやすく、金利上昇やランニングコスト上昇でキャッシュフローが薄い構造になりがちです。ペアローンで買える物件の上限を引き上げるほど、逆に「薄利で長期戦」を強いられるケースもあるため、家賃下落と金利上昇を同時に織り込んだシミュレーションが必須です。

不動産投資でペアローンを選択する際に注意すべきリスクと出口戦略の懸念

メリットの一方で、不動産投資におけるペアローンには、単独ローンにはない特有のリスクが存在します。不動産専門のFPとして、私が相談現場で最も多く目にする「失敗のパターン」の多くは、このリスクを軽視したことに起因しています。ここでは、契約前に必ず知っておくべき「負の側面」を詳述します。

離婚時の財産分与における深刻なトラブル

縁起でもない話ですが、不動産投資ペアローンを組む際に最も考慮すべきは「離婚」のリスクです。住宅ローンの場合でもペアローンは離婚時に揉める原因となりますが、投資用不動産の場合はさらに複雑です。

物件を売却してローンを完済できれば問題ありませんが、オーバーローン(売却価格よりもローン残高が多い)の状態では、売却に際して多額の手出し資金が必要になります。また、一方が「持ち分を維持して投資を続けたい」と言い出し、もう一方が「縁を切りたいから今すぐ売却したい」と主張した場合、共有名義であるため、両者の合意がなければ売却すらできません。不動産投資というビジネスを共同経営している状態になるため、人間関係の破綻はそのままビジネスの破綻に直結します。

共有不動産の「変更」にあたる行為(典型例として売却)は、原則として共有者全員の同意が必要になります。つまり、どちらかが売却に反対すると、不動産全体を売れないという状態に陥り得ます。

参考:e-Gov法令検索:民法(共有物の変更・管理)

ライフイベントによる世帯年収の減少

20代から40代の夫婦にとって、出産、育児、介護といったライフイベントは避けて通れません。ペアローンは「二人の収入が継続すること」を前提とした融資です。

  • 妻が産休・育休に入り、手当金のみで収入が激減した
  • 育児のために時短勤務を選択し、以前のような稼ぎがなくなった
  • 親の介護のためにどちらかが離職せざるを得なくなった

このような事態に陥った際、不動産投資の収支が赤字(持ち出し)の状態であれば、生活を著しく圧迫します。単独ローンであれば片方の収入を「予備」としておけますが、ペアローンは二人の余力を限界まで使い切ってしまうため、不測の事態に対する耐性が極めて低くなります。

さらに、金利が変動するタイプのローンを組んでいる場合、世帯年収が下がったタイミングで返済額が上がるという「最悪の重なり方」も起こり得ます。ペアローンを検討するなら、最低でも「家賃が下がる」「空室が出る」「コストが上がる」「金利が上がる」という複数の悪化要因が同時に起きても耐えられるかを確認してください。

売却(出口戦略)における意思決定の難易度

不動産投資のゴールは「売却して利益を確定させること」です。しかし、ペアローンで物件を所有している場合、売却のタイミングや価格設定において夫婦二人の同意が必要となります。

一方は「今は相場が良いから売りたい」と考えても、もう一方が「将来の年金代わりに持ち続けたい」と考えれば、売却は成立しません。また、売却時に譲渡損失が出た場合、その損失は持ち分に応じて按分されますが、これが後述する「損益通算」のルールと絡み合い、節税メリットを十分に享受できない不平感を生む原因にもなります。

そして、共有状態のまま片方だけが先に抜けたい場合、「自分の持分だけを売る」という選択肢が理論上はありますが、投資用マンションの持分のみを第三者が買うケースは現実的には限定的です。つまり、実務としては「二人で合意して全体を売る」以外の出口が取りにくくなり、これがペアローン最大の硬直性になります。

ペアローンを利用した不動産投資が住宅ローンの審査やマイホーム購入に与える影響

将来的にマイホーム(自己居住用不動産)を購入する予定がある方は、不動産投資ペアローンを組むことに対して最大限の警戒を払うべきです。金融機関の審査基準は、あなたが考えている以上にシビアです。この章では、投資と居住用ローンの相関関係について解説します。

返済比率(DSR)の圧迫による住宅ローン借入可能額の激減

金融機関が住宅ローンの審査を行う際、最も重視するのが「返済比率(DSR:Debt Service Ratio)」です。これは年収に占める年間返済額の割合を指します。

不動産投資ペアローンを組んでいる場合、夫婦双方の年収に対してそれぞれのローン返済額が「既存の債務」としてカウントされます。例えば、夫の年収700万円に対して投資ローンの年間返済が200万円ある場合、住宅ローンで借りられる金額は劇的に減少します。銀行によっては、不動産投資の収支がプラスであっても、返済額そのものを債務として厳しく評価するケースが少なくありません。

住宅ローンの審査では「他の借入も含めた総返済負担率」を基準として明示している商品もあります。例えばフラット35では、年収に応じて総返済負担率の基準が示されており、他のローン(カードローン等)に加えて、賃貸予定または賃貸中の住宅に係る借入金も対象に含まれる旨が明記されています。投資ローンを組むほど、マイホームの借入余力が削られる構造は、制度面からも裏付けられています。

参考:フラット35:総返済負担率(他の借入を含む)

「住宅ローン」と「投資用ローン」の優先順位

日本の金融機関は、一般的に「居住用」の融資を優先します。不動産投資ペアローンを組んで限界まで借り入れている世帯は、銀行から見れば「既に多額の借金を背負っている世帯」です。

理想のマイホームが見つかり、いざ住宅ローンを申し込もうとした際に、「投資用ローンの残高が多すぎて審査に通らない」という事態は頻発しています。この場合、投資用物件を売却するか、あるいは住宅ローンそのものを諦めるかの二択を迫られます。不動産投資を先行させる場合は、将来のマイホーム予算を逆算し、あえて融資枠に余裕を残しておく必要があります。

そして、ペアローンの場合は「夫婦それぞれの枠」を使うため、二人とも同時に住宅ローン余力が削られます。つまり、世帯としての影響が大きいだけでなく、「どちらが先に家を買うか」「どちらが主債務者になるか」という選択肢まで狭まっていきます。

賃貸併用住宅への転換という選択肢の難しさ

「将来は自分たちが住めばいい」という考えで不動産投資を始める方もいますが、ペアローンを組んでいる投資用物件に実際に住むことは、契約違反(金銭消費貸借契約違反)になるリスクがあります。投資用ローンは住宅ローンよりも金利が高く設定されており、住居として利用する場合は住宅ローンへの借り換えが必要になりますが、その際の審査もペアローンの残高がネックとなり、スムーズに進まないことが多々あります。

また、住宅ローン控除は「自己の居住の用に供する」といった要件が前提のため、投資用として運用している状態では適用の土台に乗りません。将来の居住転用を視野に入れるなら、最初から「何年後に」「どの条件で」「誰が主債務者で」居住に切り替えるのかまで、現実的に設計しておく必要があります。

不動産投資でペアローンを組む前に知っておきたい税制面と団信の注意点

最後に、実務上の注意点として税制と諸経費、そして生命保険としての側面を整理します。不動産投資ペアローンの組み合わせは、書類上の手続きも2倍、リスクの検討も2倍必要です。ここでは、国税庁の指針や実務慣行に基づいた注意点を提示します。

二倍かかる諸経費と事務手続きの負担

ペアローンは、文字通り「二つのローン」を契約することです。そのため、以下のコストが原則として二倍発生します。

  • 銀行への事務手数料(融資額の2.2%などの場合、合計額は変わらなくても最低事務手数料の設定などで割高になることがある)
  • ローン契約書の印紙代(電子契約でない場合)
  • 抵当権設定のための登記費用(司法書士への報酬など)

数百万円単位の初期費用が必要な不動産投資において、これらのコスト増はキャッシュフローを圧迫する要因となります。

加えて、ペアローンでは「諸費用の負担」も夫婦間でズレやすい点に注意が必要です。頭金、仲介手数料、登記費用、火災保険料など、購入時の支出がどちらの口座から出たのかまで含めて、持分割合と整合させないと、次の贈与税リスクにつながります。

贈与税のリスクと持ち分割合の整合性

非常に重要なのが、「物件の持ち分」と「実際のローン負担額」を一致させることです。例えば、物件価格の50%ずつを持ち分としたにもかかわらず、ローンの返済を夫が全額肩代わりしているような場合、夫から妻への「贈与」とみなされ、贈与税の対象となる恐れがあります。

不動産投資の税務調査において、この資金の流れと名義の不一致は厳しくチェックされるポイントです。夫婦間であっても、金銭のやり取りは明確にし、それぞれの口座からそれぞれの返済分が引き落とされる形を徹底しなければなりません。

国税庁のタックスアンサーでも、実際の資金負担割合と登記持分割合が異なる場合に贈与税の問題が生じ得ることが、具体例付きで説明されています。ペアローンを組む場合は「毎月の返済」だけでなく「購入時の自己資金」や「繰上返済」なども含め、負担割合と持分の整合を崩さない運用が必要です。

参考:国税庁:共働きの夫婦が住宅を買ったとき(負担割合と持分)

参考:国税庁:共かせぎ夫婦の間における住宅資金等の贈与の取扱について

売却時の譲渡所得税と不動産投資におけるペアローンの損益通算不可のルール

ここで、不動産投資において最も勘違いしやすい税務ルールを説明します。投資用不動産を売却して損失が出た場合(譲渡損失)、その損失は他の所得(給与所得など)と損益通算することができません。

国税庁の説明でも、土地や建物の譲渡で譲渡損失が生じた場合、その損失は他の土地・建物の譲渡所得の範囲で控除できる一方、控除しきれない損失は給与所得など他の所得と損益通算できない、とされています。例外として、一定要件を満たす居住用財産の譲渡損失については、損益通算や繰越控除が認められる場合がありますが、投資目的の物件には原則として当てはまりません。

参考:国税庁:不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合

居住用不動産(マイホーム)の売却であれば、一定の要件を満たせば給与所得との損益通算や翌年以降の繰越控除が可能ですが、不動産投資目的の物件にはこの特例が適用されません。ペアローンで夫婦共に損失を抱えた場合、二人ともその損失を給与所得から差し引くことはできず、税負担の軽減には繋がりません。出口戦略を立てる際、この「投資用不動産の譲渡損失は切り捨て」という冷徹なルールを前提に、ペアローンを組むべきかを再考する必要があります。

まとめ:不動産投資でのペアローン利用は慎重に!不動産専門のFPが教える最適な選択肢

ここまで解説してきた通り、不動産投資においてペアローンを利用することは、購入のチャンスを広げる大きなメリットがある一方で、離婚リスク、ライフイベントによる収入減、将来のマイホーム購入への制約、そして複雑な税務処理といった多大なリスクを背負うことでもあります。

「銀行が貸してくれるから大丈夫」という安易な判断は、将来のあなたとパートナーの生活を縛り付ける鎖になりかねません。特に、不動産投資は数十年という長期のスパンで行う事業です。今の健康状態や夫婦仲、年収が30年後も変わらないという保証はありません。

不動産専門のFPとして私が出す結論は、「ペアローンを使わなければ買えない物件は、そもそも身の丈に合っていない可能性がある」という視点を持つことです。まずは単独ローンで収まる範囲から始め、実績を作った上で次の物件を検討する方が、リスク管理の観点からは極めて健全です。

そして、どうしてもペアローンを検討するなら、最低限として次の3点は事前に固めてください。第一に「将来のマイホーム計画(いつ、いくら、誰名義で)」、第二に「最悪の年でも耐えるキャッシュフロー設計(家賃下落・空室・金利上昇・コスト上昇を同時に織り込む)」、第三に「持分と負担の整合(贈与税リスクの芽を摘む)」です。これができない状態でペアローンを組むと、問題が起きた時に打てる手が一気に減ります。

「それでも、どうしてもペアローンで狙いたい物件がある」「自分の今の状況でペアローンを組んだら、将来の住宅ローンにどれくらい影響するのか具体的に知りたい」とお悩みの方は、ぜひ一度、不動産専門のFPへの無料個別相談をご活用ください。

特定の不動産会社に属さない中立的な立場のFPとして、あなたの家計状況やキャリアプランを詳細にヒアリングし、不動産投資ペアローンを取り入れるべきかどうかのシミュレーションを精密に行います。後悔しない資産形成のために、一歩踏み出してみませんか?

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