【不動産FPが解説】区分マンション売却期間の平均はどれくらい?早期売却のコツとスケジュールの全貌

「投資用のワンルームマンションを買ったものの、毎月の収支は赤字。そろそろ手放したいが、一体どれくらいの期間で売れるのだろうか?」
このような不安を抱えながら、売却のタイミングを模索している方は非常に多くいらっしゃいます。特に、結婚やマイホーム購入といったライフイベントを控えている20代〜40代の方にとって、保有している投資用不動産が現金化できるまでの「期間」は、人生設計を左右する極めて重要な要素です。
不動産売却は、株式投資のようにクリック一つで即座に現金化できるものではありません。買い手を見つけ、ローンの残債を抹消し、所有権を移転するまでには、複雑な手順と一定の時間が必要です。「すぐに売れるだろう」と高を括って売り出した結果、半年以上も買い手がつかず、その間も管理費や修繕積立金の支払いが続き、精神的に追い詰められてしまうケースも珍しくありません。
私は不動産投資専門のファイナンシャルプランナー(FP)として、数多くのオーナー様からご相談を受けてきましたが、売却に失敗するパターンの多くは「スケジュールの見積もりの甘さ」と「相場観のズレ」に起因しています。
この記事では、区分マンションの売却にかかる平均的な期間や、なぜ期間が長引いてしまうのか、そして少しでも早く、かつ適正な価格で売却するための戦略について、専門家の視点から徹底的に解説します。漠然とした不安を解消し、着実な出口戦略を描くための参考にしてください。
この記事を読むと分かること
- 区分マンション売却にかかる平均期間(3ヶ月〜6ヶ月)の根拠
- 売却期間が長引いてしまう「構造的な原因」と対策
- 「仲介」と「買取」それぞれの期間と売却価格の違い
- 売却活動中の資金ショートを防ぐための事前準備と損益計算
- 投資用不動産特有の税制ルールと、手取り額を最大化するポイント
区分マンションの売却期間は平均でどれくらいかかるのか?一般的な目安を知る

まず結論から申し上げますと、区分マンション(投資用ワンルームなど)を市場に出してから売買契約を結び、最終的に決済(引き渡し)を終えるまでの期間は、一般的に「3ヶ月〜6ヶ月」程度が平均的な目安となります。
しかし、これはあくまで「順調に進んだ場合」の平均値です。物件の立地、築年数、現在の賃貸状況、そして売り出し価格の設定によって、この期間は大きく変動します。「1ヶ月で売れた」という話もあれば、「1年経っても売れない」という事例も現実に存在します。ここでは、その期間の内訳と背景にあるロジックを深掘りしていきましょう。
3ヶ月〜6ヶ月がひとつの目安となる理由とスケジュールの内訳
不動産売却のプロセスは、大きく分けて「準備期間」「販売活動期間」「契約・決済期間」の3つのフェーズに分類されます。それぞれのフェーズでどれくらいの時間を要するのか、標準的なスケジュールを見てみましょう。
| フェーズ | 期間の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1. 準備期間 | 2週間〜1ヶ月 | 査定依頼、媒介契約の締結、必要書類の収集、販売図面の作成 |
| 2. 販売活動期間 | 1ヶ月〜3ヶ月 | レインズ登録、ポータルサイト掲載、購入希望者の内覧(空室の場合)、条件交渉 |
| 3. 契約・決済期間 | 1ヶ月〜2ヶ月 | 売買契約締結、買主のローン審査、金融機関との抹消手続き、決済・引き渡し |
特に時間が読めないのが「2. 販売活動期間」です。投資用物件の場合、居住用マンションとは異なり、購入者の大半は投資家です。彼らは利回り(収益性)をシビアに計算するため、相場より少しでも高いと判断されれば、問い合わせすら入らない状況が続きます。
また、意外と見落とされがちなのが「3. 契約・決済期間」です。買主が見つかっても、買主側の投資ローン審査に時間がかかったり、売主側(あなた)の抵当権抹消手続き(一括返済の手配)に手間取ったりすることで、契約から引き渡しまでに1〜2ヶ月を要することはザラにあります。したがって、「売りたい」と思ってから現金が手元に入るまでは、最低でも半年程度を見込んでおくのが安全な資金計画と言えます。
都心と地方で異なる流動性の違いと期間への影響
「区分マンション」と一口に言っても、東京23区内の駅近物件と、地方都市のバス便物件では、売却にかかる期間は天と地ほどの差があります。
都心部の好立地物件であれば、資産価値が維持されやすく、銀行の融資評価も出やすいため、買い手がつきやすい傾向にあります。適正価格であれば3ヶ月以内に成約することも珍しくありません。一方、地方都市や築古の物件は、融資を出してくれる金融機関が限られるため、買い手が「現金購入できる投資家」に限定されてしまうことがあります。
ターゲットとなる買い手の母数が減れば、当然ながらマッチングにかかる期間は長期化します。「地方物件」や「旧耐震基準の物件」を所有している場合は、平均の倍以上の期間(半年〜1年)を覚悟して戦略を立てる必要があります。ご自身の物件が、金融機関から見て「融資しやすい物件」なのかどうかを、事前に不動産専門のFPやエージェントに確認しておくことをお勧めします。
区分マンションの売却期間が平均よりも長引くケースはどれくらいあるのか?

平均期間が3ヶ月〜6ヶ月である一方、1年以上売れ残ってしまう「塩漬け物件」になってしまうケースも後を絶ちません。では、なぜ売却期間が長引いてしまうのでしょうか。その原因を知ることは、早期売却への近道となります。
ここでは、区分マンションの売却期間が平均より長引いてしまう主な要因と、それがどれくらいのリスクになるかを解説します。
売り出し価格の設定ミスと市場相場の乖離
売却期間が長引く最大の原因は、単純明快ですが「価格設定のミス」です。
多くの売主様は、「ローンの残債がこれだけあるから、これ以上では売りたい」「買った時の価格がこれくらいだったから」という、自分都合の理由で価格を決めてしまいがちです。しかし、投資家である買主は「その物件がいくら稼ぐか(利回り)」でしか判断しません。
例えば、相場利回りが4.5%のエリアで、売主の希望により利回り3.5%の価格設定で売り出したとします。この場合、どれだけ待っても問い合わせは来ないでしょう。最初の1〜2ヶ月で反応がなければ、市場から「割高な物件」というレッテルを貼られ、その後価格を下げてもなかなか見向きもされなくなる「情報の陳腐化」が起きてしまいます。
特に、新築で購入したワンルームマンションの場合、購入価格にはデベロッパーの利益や広告宣伝費が上乗せされているため、中古市場での相場価格は購入価格より2〜3割下がっていることが一般的です。「残債を消せる価格」と「売れる価格」には乖離があるという厳しい現実を直視し、相場に合わせた価格設定を行わなければ、期間は無限に伸びてしまいます。
賃貸中(オーナーチェンジ)と空室渡しによる難易度の差
投資用区分マンションの場合、入居者がいる状態(オーナーチェンジ)で売るか、空室にして売るかによっても、売却期間と難易度は変わります。
オーナーチェンジ物件(賃貸中)の場合:
メリットは、買主が購入直後から家賃収入を得られる点です。投資用としてはこれが標準ですが、デメリットとして「室内の内覧ができない」ことが挙げられます。室内の状態(修繕が必要かどうか)が確認できないため、買主はリスクを見越して指値(値下げ交渉)を入れることが多く、条件面での折り合いがつかずに期間が長引くことがあります。
空室物件の場合:
メリットは、室内をリフォームして綺麗に見せたり、実需層(自分で住みたい人)にもターゲットを広げられたりする点です。ターゲットが広がれば早期売却の可能性は高まります。しかし、投資用ワンルームのような狭い物件(20平米〜25平米)の場合、実需の需要は低く、空室である間は家賃収入が入らないため、売れるまでの期間、ローンの返済が丸々持ち出しになる(赤字が拡大する)という強烈なプレッシャーがかかります。
空室リスクを避けるために売り急ぐと、足元を見られて安く買い叩かれる可能性も高まります。基本的にはオーナーチェンジでの売却を目指しつつ、適切なレントロール(賃貸借条件一覧)や管理状況の開示を行うことが、期間短縮の鍵となります。
区分マンション売却期間を平均より短くするにはどれくらいの価格調整が必要か?

「どうしても今月中に現金が必要」「離婚に伴う財産分与で急いでいる」など、事情によっては平均的な3ヶ月〜6ヶ月も待っていられないケースがあるでしょう。期間をお金で買う、つまり価格を調整することで売却スピードを早める方法について検討します。
区分マンションの売却期間を平均より短くするには、どれくらいの価格インパクトを受け入れる必要があるのでしょうか。「仲介」と「買取」という2つの手法の違いから解説します。
業者買取と仲介売却のスピードと価格のトレードオフ
不動産売却には、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社そのものに直接買い取ってもらう「買取」の2種類があります。
仲介の場合:
市場価格(相場)で売れる可能性がありますが、買い手が見つかるまでの期間は不確定です。先述の通り、平均で3〜6ヶ月かかります。
買取の場合:
買い手を探す必要がないため、価格さえ合意すれば最短1週間〜1ヶ月程度で決済まで完了します。その代わり、買取業者は買い取った後にリフォームや再販を行うための利益や経費を差し引くため、売却価格は市場相場の7割〜8割程度まで下がるのが一般的です。
例えば、相場2,000万円の物件であれば、買取価格は1,400万円〜1,600万円程度になるイメージです。この「数百万円の差」を受け入れてでもスピードを優先するかどうかが、判断の分かれ目となります。
【表あり】買取と仲介のメリット・デメリット比較
それぞれの特徴を整理しましたので、ご自身の状況に合わせてどちらを選択すべきか検討してみてください。
| 項目 | 仲介売却(一般市場) | 業者買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場相場に近い(高値が狙える) | 相場の70%〜80%程度 |
| 売却期間 | 3ヶ月〜6ヶ月以上(不確定) | 1週間〜1ヶ月(確実) |
| 仲介手数料 | 必要(売買価格×3.3%+6.6万円) | 不要 |
| 契約不適合責任 | 一定期間負う必要がある | 免責(売却後のトラブルなし) |
| 室内状況 | 見栄えが重要(内覧対応あり) | 現状のままでOK(残置物も相談可) |
| 向いている人 | 時間に余裕があり、高く売りたい人 残債が多く、少しでも高く売らないと完済できない人 | とにかく早く現金化したい人 売却後のクレーム対応を避けたい人 他人に知られずに売りたい人 |
もし、ローンの残債が買取価格を下回っている(オーバーローンではない)のであれば、「買取」を選択して早期にリスクを切り離すのも賢明な判断です。しかし、多くの投資用マンションオーナー様は、残債が多いために買取では完済できず、「仲介」で粘り強く売らざるを得ない状況にあります。
その場合でも、最初は強気の価格で出しつつ、反響を見ながら「1ヶ月ごとに価格を見直す」といった柔軟な運用が必要です。FPに相談いただければ、残債と手取り額のシミュレーションを行った上で、最適な戦略を提案可能です。
区分マンション売却にかかる期間の平均を知り、どれくらいの手取りが残るか計算する

売却期間と同じくらい重要なのが、「最終的にいくら手元に残るのか」という手取り額の計算です。「2,000万円で売れたから、残債1,900万円を返して100万円の手元残りだ」と単純に考えてはいけません。
不動産売却には様々な諸費用や税金がかかります。これらを計算に入れておかないと、いざ決済の段になって「手持ち資金(持ち出し)が必要」という事態に陥りかねません。区分マンション売却にかかる期間の平均とともに、コストについてもどれくらいかかるか把握しておきましょう。
売却にかかる諸費用と税金のシミュレーション
売却時にかかる主な費用は以下の通りです。
- 仲介手数料:売買価格×3.3% + 6.6万円(消費税込)
- 印紙税:売買契約書に貼付(数千円〜数万円)
- 抵当権抹消登記費用:司法書士報酬含め2〜3万円程度
- ローン一括返済手数料:金融機関によるが数万円〜数十万円(違約金が発生する場合も)
- 譲渡所得税:売却益が出た場合のみ発生
例えば、売却価格2,000万円の場合、仲介手数料だけで約72万円かかります。その他諸費用を合わせると、売却価格の4%〜5%程度(約80万〜100万円)は経費として消えると考えておくべきです。つまり、残債が1,900万円であれば、2,000万円で売れても手残りはほぼゼロ、あるいはマイナスになる計算です。
このシミュレーションを事前に行わず、「売れればなんとかなる」と安易に媒介契約を結んでしまうと、後で痛い目を見ることになります。
譲渡損失が出た場合の税務上の注意点(損益通算不可)
ここが最も注意すべきポイントです。投資用マンションを売却して損失(譲渡損失)が出た場合、「給与所得と相殺して税金を取り戻せる(損益通算できる)」と勘違いされている方が非常に多いです。
結論として、投資用不動産の売却損は、給与所得との損益通算はできません。
マイホーム(居住用財産)の売却であれば、一定の要件を満たすことで譲渡損失の損益通算や繰越控除の特例が使えます。しかし、投資用不動産はあくまで「資産運用」の一環とみなされるため、この特例の対象外です。国税庁のWebサイトでも明確に区分されています。
参考:No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合(国税庁)
つまり、「赤字で売却したから税金が安くなる」という救済措置はないため、純粋に「売却損=資産の目減り」として受け入れる必要があります。この点を理解せずに、「節税になるから」という営業トークに乗せられて安易な損切りを行うのは危険です。もちろん、将来の赤字拡大を防ぐための損切りは正しい判断ですが、税務上のメリットは期待できないことを前提に、どれくらいの痛みを許容できるか冷静に判断しましょう。
区分マンションの売却期間が平均どれくらいか把握し、出口戦略を立てる重要性

ここまで、区分マンションの売却には平均して半年程度の期間がかかること、そして価格設定や諸費用計算の重要性について解説してきました。不動産投資において「出口戦略(売却)」は、入り口(購入)以上に難易度が高いものです。
しかし、恐れる必要はありません。適切な期間を見積もり、正しい手順を踏めば、納得のいく形での売却は十分に可能です。
ポータルサイトへの掲載から成約までの具体的なステップ
実際に売却活動をスタートさせた後、どのような動きになるのか具体的にイメージしておきましょう。
- 媒介契約の締結:信頼できる不動産会社1社(専任媒介)または複数社(一般媒介)と契約します。
- 販売図面の作成と登録:不動産流通機構(レインズ)やSUUMO、楽待などのポータルサイトに物件情報が掲載されます。
- 問い合わせ対応:投資家や他社の仲介業者からの問い合わせに対応します。この段階での反応数が、価格設定の適正さを測るバロメーターになります。
- 買付証明書(購入申込書)の受領:購入希望者から「この価格で買いたい」という意思表示が届きます。ここで指値(値下げ交渉)が入ることが一般的です。
- 条件交渉と合意:価格、引き渡し時期、手付金の額などを調整し、双方が合意すれば売買契約へと進みます。
このプロセスの中で、売主様がやるべきことは「不動産会社からの報告をチェックすること」と「決断すること」です。特に、最初の1ヶ月で問い合わせが少ない場合は、担当者と相談して「広告の写真を撮り直す」「価格を少し下げる」「キャンペーンを打つ」などのテコ入れを迅速に行う必要があります。
区分マンション売却期間の平均はどれくらいかを踏まえた最適な売り時の判断
最後に、区分マンション売却期間の平均はどれくらいかを踏まえた上で、いつ売るべきかという判断基準をお伝えします。
もしあなたが、「今の収支が毎月1万円の赤字」で、「5年後に大規模修繕による修繕積立金の値上げが予想される」のであれば、今すぐに動き出すべきです。売却に半年かかったとしても、5年後の値上げ前に売り抜けることができれば、将来の大きな損失を回避できるからです。
逆に、今は収支がトントンで、数年後に残債が大きく減る見込みがあるなら、焦って今売る必要はないかもしれません。しかし、金利上昇のリスクや、築年数経過による価格下落リスクは常に付きまといます。
重要なのは、「平均期間(3〜6ヶ月)を逆算して、自分のライフプランに間に合うように動き出すこと」です。例えば、1年後に結婚を控えており、その時に住宅ローンを組みたいのであれば、今すぐに査定を始めないと間に合いません。投資用ローンがあると、住宅ローンの借入可能額が大幅に減額される(あるいは否決される)可能性があるからです。
まとめ:区分マンション売却は期間と価格のバランスが重要。迷ったら専門家に相談を

今回は、区分マンションの売却期間の平均や、期間が長引く理由、早期売却のコツについて解説しました。
記事の要点は以下の通りです。
- 区分マンションの売却期間は、平均して3ヶ月〜6ヶ月程度かかる。
- 価格設定を誤ると1年以上売れない「塩漬け」になるリスクがある。
- 早期売却(買取)を選ぶと、価格は相場の7〜8割に下がる。
- 売却には諸費用がかかるため、手元に残るお金(手取り)をシビアに計算する必要がある。
- 投資用不動産の売却損は、給与所得と損益通算できない点に注意。
不動産売却は、一度動き出すと後戻りが難しい大きな決断です。「少しでも高く売りたい」という気持ちと、「早く手放して楽になりたい」という気持ちのバランスを取ることは、プロであっても容易ではありません。
もしあなたが、ご自身の物件の適正価格や、売却すべきタイミングについて少しでも迷いがあるなら、一度「不動産専門のFP」にご相談ください。不動産会社は「売ること」が目的ですが、FPは「あなたの資産を守り、人生設計を整えること」を目的としています。無理に売却を勧めることはせず、保有し続けた場合と売却した場合のシミュレーションを比較し、客観的なアドバイスをさせていただきます。
赤字の不安を抱えたまま過ごす毎日から抜け出し、明るい将来設計を描くための第一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
